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多少間違え有り!

 投稿者:ALICE ZERO  投稿日:2005年 5月 2日(月)20時00分52秒
  あの聖杯戦争から一年。
えらく波風の多かったこの一年、長いようで短かいような一年だった。
最初の一月ばかりは、以前どおり何も変わらない日々だった。変化といえば、遠坂がたびたび俺の家に飯を食いに来たり、俺が遠坂に魔術の講義を受けたりする程度。だが、三年に進級したあたりから波乱万丈になっていった。

まず、遠坂がきっぱりと俺の所有宣言をした。それも何故か、まず藤ねえと桜の前。
これが大騒ぎになった。泣くは叫ぶは暴れるわ――あ、暴れたのは藤ねえだけだが――ともかく収めるのに一苦労だった。

家は何とかそれで収まったが、遠坂は始業式当日、学園で同じことをやらかした。
伝えてまわるのは面倒と、始業式の会場でぶち上げやがったのだ。
これが又一騒動。なにせ学園一のアイドルで、今まで男っ気の全くなかった遠坂が、目立たず、どこにでも転がっているような俺と交際宣言をしたのだ。騒ぎにならない方が不思議だ。
一成は卒倒するわ、何故か美綴は頭を抱えてへたり込むは。学園中大騒動になった。
そこいら中で老若男女とわずに阿鼻叫喚の地獄絵図だ。もっとも表立った騒動は大したことではない。遠坂がにっこり笑って俺に腕を絡め、そのままの笑顔で睨みつければ大抵静かになった。
一方裏では、数限りない暗闘がしばらくの間繰り広げられたのだが、それも何とか収めて廻った。遠坂、犯罪はいけないぞ、犯罪は。

ともかく、そんな騒動でようやく落ち着いたのは三月ほどたってから。その後も、なんやかや騒ぎの絶えない毎日だった。

この日の前日も、遠坂と一緒に英国留学をするという話を、藤ねえと桜に伝え一騒動が起こったばかりだった。
何とか二人を説得し、俺はこの日は隣町に行っていた。留学の為の申請書類の送付とパスポートの取得の為だ。そこで俺は彼女に出会った。








  
記憶(ルーン)の在り処 ――Lancer――   
  







最初は気のせいだと思っていた。時折、視界に入るダークスーツの小柄な人影。
だが、それが俺が向かう先、全ての”前方"で見かけると気付いた時から、そうは言えなくなってきた。駅で、繁華街で、パスポート交付所で、その人影は俺の行き先に先回りして現れる。

「まいったな……」

口では気楽に呟いても、背中にはびっしり冷や汗が浮かんでいる。どう考えてもやばい。既に相手は魔術師であることを隠そうともしていない。狙いは間違いなく俺。多分、理由は聖杯戦争がらみだろう。

それでも必死で巻こうと、あちこち動き回り逃げ回った。だが、それも無駄な努力。俺はいつの間にか、人気の無い裏通りを歩いている事に気がついた。どうやら誘導されていたようだ。
そして今、目の前に脇道。そっちに入ってはいけない、そちらには居る。そう確信しながらも、俺はその脇道に入って行ってしまった。

「こんにちは、衛宮士郎くん」

予想通りといえば予想通り、予想外といえば予想外な出会いだった。サングラスをかけダークスーツに身を包んだその人影は、紛れも無く女性だったのだ。

「え……あの?」

「違うの? 気がついたから、ここに入ってきたんじゃないの?」

「あ、いや、衛宮士郎ですけど」

「ああ、良かった。本気で別人かと思ったわ。全然、気がついてくれないみたいだったから」

その女性はそう言うと、微かに微笑んでサングラスを外した。

「バゼット・フラガ・マクレミッツ。言わなくても分かると思うけど、協会の魔術師よ」

こうして俺はこの日の残りを彼女と過ごすことになってしまった。
いや、やばいのは重々承知していた、とはいえ逃げられるもんじゃない。だが、彼女に付き合ってしまった本当の理由はそれじゃない。
男らしいくらいきっぱりした立ち振る舞い、そしてその菫色の鋭い眼光。それは紛れも無く魔術師の、それも恐るべき魔術師のものだった。そのくせ微かに下がった目じりと、左目の泣き黒子は、稚気さえ感じるほどの人懐こさを感じさせてもいた。
その雰囲気は、なんだかどこかで見たような、何処かで出会っていたかのような感じがした。不思議な感触だったが、俺はその気持ちに従うことにしたのだ。




「ええと、バゼットさん?」

「なにかな? 衛宮くん」

「どうして、俺なんですか?」

昼飯をご馳走になった後、俺はバゼットさんに尋ねた。
あの後、俺はお昼でもと小洒落たレストランに連れてこられたのだ。ノータイで入るのが気後れするほどの店で、しかも予約さえ入っていた。つまり、あの場所あの時間に俺を捕まえるのは、想定済みであったというわけだ。

「旅先のちょっとした悪戯心で、若い男の子をナンパした。って言ったら信じてくれる?」

「信じません」

「つれないのね」

くすくすと楽しそうに笑いながら、バゼットさんは、細身のタバコを取り出し、器用に右手だけでマッチを摺って火をつけた。

「ごめんなさい、ことわる前に火をつけちゃったわね」

「かまいませんよ。でも、女の人がタバコを吸うって余り良い事じゃない」

俺は少しばかり憮然とバゼットさんに応えた。そりゃ、様にはなっているが、やっぱり良い事じゃない。
が、バゼットさんは何が嬉しいのか、そんな俺を眺めて黙って微笑んでいるだけだ。なんでもない笑顔なのに、何故か凄いプレッシャーを感じてしまう。

「聖杯戦争……ですか?」

結局沈黙に負けたのは俺。こっそりと小声で聞いた。大人の女性には勝てない。藤ねえとは随分違うなぁ。

「衛宮くん。端から手札をさらすのは、余り良い事じゃない」

つんと人差し指を俺の鼻面に突きつけ、バゼットさんは艶っぽく微笑みかけてくる。まずい、ちょっとぐっと来てしまった。

「あんまりいじめちゃ悪いか。そう、聖杯戦争に付いて直接聞きたくて粉をかけさせてもらったわ」

そんな俺の様子を面白そうに見ていたバゼットさんは、一旦椅子に身を戻しから、おもむろに言った。って、良いんですか? こんなとこでそんな話しちゃって?

「気付いてないの?」

俺は、落ち着きなく周囲を見回す慌てぶりを、不審げに問いただされた。それでも、何のことやらといった表情の俺に、バゼットさんは少し考え込むよう顔をしてから、テーブルに置いたマッチ箱を裏返して見せた。

「あ、そうだったのか」

そこに落書きのように刻まれている線は、イーサ(静止)とラグス(流出)のルーン。なるほど、声の流出を止めて外に漏れないようにしているわけか。ちょうど先週、習ったばかりのところだ。有難う、遠坂。
ほっとすると同時に、目の前の女性の魔術師としての手腕に付いても再認識させられた。こんな落書きみたいなルーンであっさり結界を敷くなんて。

「話を戻しましょう。遠坂のお譲さんから協会に正式な報告書は届いていた。私もそれには目を通した」

笑みを消しバゼットさんは話を続ける。

「でも、私の知りたいことはあまり書いていなかった。だから、それを直接聞いて調べるために、君を呼び止めたわけ」

「それって、査問って奴ですか?」

「ああ、安心して。協会はあの報告書を正式に受理したから。だからこれはあくまで私個人の興味。落とし前ね」

ちょっと安心した。査問となれば遠坂の為にも下手なことは言えない。でも、それなら。

「俺なんかより、遠坂に聞いた方が良いんじゃないんですか? あいつの方が詳しいし。俺なんか、ただのおまけです」

聖杯戦争において、遠坂は最初からセイバーのマスターだったとして報告を上げてある。俺はあくまであいつの弟子として巻き込まれた形にしてあるのだ。

「衛宮くん」

「はい?」

バゼットさんは、心の奥底まで見通すような視線で、じっと俺を見据えた。

「私はね、武闘派って奴なの。魔術師って本来、研究室に篭ってそれこそ死ぬまで自分の研究に没頭するもの。でもね、そんな魔術師とは別に、自分が身につけた魔術や技術を実際に行使しながら研究する一派もある。私みたいなタイプの魔術師ね。ま、おかげで協会から色々と雑用を仰せつかっちゃうけど」

その菫色の瞳の奥に、何か複雑な感情が宿る。

「もう一昔も前だけど、そんな武闘派の中にある種伝説になった魔術師が居た。純粋な魔術師としては一流の下、でも戦いになれば誰も彼には勝てなかった。」

一拍置いて、表情に厳しさが戻った。

「衛宮切嗣。それがその魔術師の名前。だから地下に篭っているような連中と違って、私達のような実戦派の魔術師は、衛宮の姓を名乗る存在を、たとえ雛鳥といえども軽く見ることはない」

バゼットさんは俺を見据えた。その瞳には、もはや先ほどまでの稚気や人懐こさは無い。魔術師としての冷徹で厳格な、それこそ敵を見るような冷ややかな瞳。そこから俺を刺し貫くような視線が放たれる。

「お、俺は切嗣(おやじ)と比べられるような存在じゃありません」

それだけ言うのがやっとだった。まるで金縛りにでも有ったかのように、冷や汗が背中を伝う。生きた心地がしないと言う奴だ。

「そうね、ちょっとがっかりした。君、もうすこし頑張りなさい」

一転、力を抜いて、先ほどまでの人懐っこさが戻る。苦笑しながら、まるで弟でも諭すような口調で軽く言ってくれます。それはそれで傷つくなぁ。

「でも、君が只者でないって気持ちは今も変わっていない。君からは血の臭いがするから。それもかなり濃い血の臭いがね」

なんとも翻弄される。表情の緩急、厳しさと茶目っ気。振り回されすぎて、隠そうとしている物が全部振り落とされそうだ。

「だから、あの聖杯戦争で、君がただのおまけだったとは思えない。核心に関わっていたと、私の直感が告げているわけね」

「そ、そんなこと有りません」

確かに核心に関わっていた。とはいえ、おいそれと話せる物ではない。俺は慌てて否定した。

「君、隠し事が下手だって言われたことない?」

だってのに、バゼットさんはそんな俺を面白そうに眺めながら、頬杖を付く。無駄だから止めなさいって微笑まれてる感じだ。

「あの……だけど」

「良いわ。詳しくは聞かない。私の知りたいことに付いて、知っているだけ話してくれれば」

とはいえ知っていれば隠せないでしょうけどね、と楽しそうに俺に視線を送ってくる。う、否定しきれない。すまん、遠坂。

「それで、なにを聞きたいんです?」

こうなった以上俺は腹をくくった。元々ここに連れ込まれた時点で、俺の負けだったのだ。

「ランサーのこと」

ランサー?

「彼は私が召喚したの」

そこまで言うと、バゼットさんは食事中さえ外さなかった手袋を脱いだ。
その男装と裏腹に女性らしい繊細な右手。そして、鈍く光る鋼の左手。

「言峰に令呪ごと奪われるまで。私が彼のマスターだった」

ランサー、蒼い槍兵。アイルランドの光の皇子。クー・フーリン。一度は殺され、一度襲われ、一度は助けられ、そして最後には遠坂を救ってくれた英霊。
そういえば遠坂から聞いたことがある。言峰は、あいつを協会の魔術師から奪ったって。それがバゼットさんだったのか。

「そうだったんですか」

俺はそっとナプキンで、バゼットさんの左手を周囲の視線からさえぎった。

「紳士ね」

「余り良い事じゃない」

苦笑を浮かべるバゼットさんに、俺は出来るだけ厳しい顔で応えた。少なくとも好奇の目にさらして良い物じゃない。
そんな俺の気持ちをわかってくれたのか、バゼットさんは肩をすくめて手袋を嵌めなおしてくれた。

「人体そっくりの義手にだって出来るのよ。気にすることはないわ」

それは判る。そういった義手が有ることも知識では知っている。だが、

「バゼットさんは気にしてるんだろ?」

そう、何かこだわりがなければ、態々そんな目立つ義手にしたりはしないはずだ。俺の言葉に、バゼットさんは一瞬呆けた顔をしたが、すぐにむっと眉を顰めて意外なほど可愛らしい表情を見せた。

「嫌な子ね、空っ惚けた顔をして。君、どうしてこんなことには鋭いのかな?」

下から見上げる様なジト目で、絡むように睨み付けてきた。

「そんなこと言われても判らない。でも間違っちゃいない。違うかな?」

「ええ、ええ、間違ってないわ。本当に……やっぱり切嗣氏の息子ね、末恐ろしいわ」

切嗣(おやじ)……一体あんたは、どんな魔術師だったんだ?

「話を元に戻しましょう。それとさっきのは訂正。隠し事は出来ないけど、話の逸らし方は一級品ね、しかも自覚なし」

バゼットさんは目を細め、挑むような視線で俺を見る。そんなこと言われたって、そんなつもりは全然まったくないぞ。
俺は弁明しようと口を開きかけた。が、バゼットさんはそんな俺を、また話を逸らすんでしょうといった表情で睨みつけてきた。う、これじゃ何も言えない。

「それで、ランサーの何を話せば良いんですか?」

俺はバゼットさんの表情を伺いながら、恐る恐る切り出した。良かった、正解みたいだ。バゼットさんの表情がいくぶん和らいだ。

「そうね、彼、戦えたかな?」

ああ、

俺はこの最初の問いで、この人とランサーがどんな主従であったか分かったような気がした。
あいつは聖杯に何も望んでいなかった。ただ思う存分、力の限り戦うことを望んでいただけだ。この人はそれを知っている。そしておそらく一番気がかりだろう質問がこれだ。確かに、こんなことは報告書からでは分からない。だが、

「それは難しい質問です」

「何故かな?」

「あいつ令呪で縛られてましたから。”最初に全員と戦って、引き分けて来い”って」

「言峰ね」

バゼットさんの表情は変わらない。だが、ほんの少し翳ったように見えたのは、思い違いでは無いだろう。

「俺が知る限りでは、ランサーと戦ったのはセイバーが一回と、アーチャーが二回だけです。あ、後、なんでも全てのサーヴァントとは一度は戦ったらしいことは言ってました」

俺はあの戦いを、そして短いながらも共闘した時にランサーと話した内容を、思い出しつつ話した。考えてみれば、どれも決着付かずな戦いばかりだったんだな。

「じゃあ、彼が決着を付けられたのはアーチャーだけか……」

あ、そうか。俺の言い方だと確かにそう聞こえるな。でも、

「残念ですけど、アーチャーとの二回目も引き分けでした。俺たちの為に時間稼ぎをする戦いでしたから」

それに、縛りもあった。
あの戦い、遠坂はアーチャーを殺さないでくれとお願いし、あいつはそれを受けていた。生死をかけた戦いに、どれだけの意味があるかと思うだろうが、あいつの場合は特別だ。あいつにとって”誓い”とは、たとえその先に滅びの運命が待っていようとも、頭を掲げ胸を張って守り抜く物なのだ。

「なんだ、結局、彼は一度も力の限り戦えなかったのね」

そんな俺の顔色を読んだのだろうか、バゼットさんは小さくポツリと呟いた。先ほどと表情も声音も少しも変わっていないのに、そこにはえもいわれぬ寂しさがあった。この時ばかりは、嘘をいえない俺の表情が恨めしかった。

「すいません。哀しませちゃったみたいで」

だから詫びた。詫びるような事ではなかったかもしれないが、バゼットさんを、今、哀しませたのは俺なんだから。

「哀しむ? 違うわ。悔しいだけ。なんといっても彼は誓いを守りきったんでしょ?」

私は誓いを守れなかったから。バゼットさんはそういうと、もう一本タバコを取り出して、火をつけた。

「余り良い事じゃない」

俺はそんなバゼットさんに、顔つきを改めて言った。これは、本当に余り良い事じゃない。

「なに? ああ、ごめんなさい。また勝手に火をつけてしまったわね」

バゼットさんは苦笑しながら、タバコの火を消した。だけど、

「違う、悔しいだけなんて嘘だ。バゼットさんはマスターでなくなってしまったんだろ? だったら誓いを守りようが無い。なにを誓ったかは知らないけれど。それってもう約束でなく希望だ。希望が破れたんなら悔しいだけじゃなくて哀しいはずだ」

それに、今の話し方からすると、その誓いは自分のためじゃ無くあいつの為の物のはずだ。だったら

「バゼットさんも、あいつに全力で戦って欲しかったんだろ?」

バゼットさんは、捲くし立てる俺にしばらく唖然としていたが、我に返るとものすごく怖い顔で睨みつけてきた。ただ、ものすごく怖いんだが、何故かとても可愛らし顔でもあった。

「本当に嫌な子。女の子が韜晦してるんだから。素直に受け入れなさい」

バゼットさんはぴしゃりと言い切ると、本当に調子が狂うったらありゃしない、と呟きながら、少し頬を染めて視線を逸らした。でも、バゼットさん、自分を女の子って言うのは如何な物かと……いえ、何でもありません。

「まあいいわ。確かに残念だし哀しいかな? あいつには思う存分戦って欲しかったから。じゃ行きましょう」

バゼットさんは、もう一度俺をむっと睨んでから、伝票を取って立ち上がった。

「それじゃ。これで」

なんとかこれで終わったことに、少しばかりほっとして、俺も一緒に立ち上がった。この程度で済むなら何時だってお相手しますよ。

「なに言ってるの、まだ付き合ってもらうわ。君、女の子を哀しませたのよ? それくらい礼儀でしょ?」

だが、店を出て分かれようとした所で、俺は袖を掴まれ引き戻された。哀しませたって、ああ、もう、判りました付き合います。でも、バゼットさん。その女の子っていうのは……すみません。もう二度と言いません。




「それで、何処に行くんですか?」

そのまま、駅前に止めてあった蒼のオープンカーに拉致され、俺は今、国道を突っ走る車の助手席に座っている。バ、バゼットさん上なんか見上げてないで、前、前見て!

「あいつの最後の場所。案内してくれるでしょ?」

今度はこっちを向いてバゼットさんは応えてくれた。だから前、前を見て運転してくれ!

「アインツベルンの城跡ですか……」

ようやく前を見てくれたバゼットさんに、ほっとしながら俺は応えた。あそこか、あそこには色々な思い出が詰まりすぎている……
ランサーだけじゃなく、あの城跡には白い少女と黒い巨人も眠っている。あいつと共闘を決めたのもあそこなら、俺がアーチャーと勝負をかけたのもあの城だった。

「その、ちょっと寄り道してくれませんか?」

俺はバゼットさんに頼んで、少し寄り道をしてからアインツベルンの城跡へ向かった。


「バゼットさん。こっちこっち」

国道の脇に車を止め、さらに一キロほど進んだところが森の入口。俺は、その前で先ほどからじっと森を見据えているバゼットさんに声をかけた。

「まずったかしらね」

バゼットさんは苦い顔でポツリと呟いた。

「どうしたんですか?」

要の城を失ったこの森には、あの頃あった結界は既に無い。俺から見たら、確かに深々としてはいるが普通の森だ。

「遠坂のお嬢さん。さすがね、さっさと領有権を主張してるわ」

バゼットさんは、森の入口に隠されるように埋め込まれた石碑を指し示した。
まだ真新しいそれは、遠坂家の印が刻まれた結界石だ。

「遠坂か、でも俺は気付かなかったけど」

「それは君が遠坂家の所有物だから、自分の物には感じないわよ」

お、俺は遠坂の所有物ですか? 所有物って……否定しきれないところに哀しさを感じる。

「アインツベルンもすっかり斜陽だし、文句が無いのをいい事に良くやるわね。大した玉よ、あのお嬢さん。ま、仕方ないか。冬木からは結構遠いし、ちょっとだけなら大丈夫でしょう」

バゼットさんはそう呟きながら森に入っていく。

「なんか問題でも有るんですか?」

「あのね衛宮くん。言ったでしょ? 私のこの行動は個人的な物だって。協会にも報告してないし、当然、遠坂のお嬢さんにも話は通してない。そんな状態で他人の管理地に安易に入ってはいけない。だから、君だって冬木の外で捕まえたのよ?」

ああ、そういうことだったんだ。なんで隣街で捕まったのかちょっと疑問だったんだが、これで謎が解けた。てことは遠坂がこのことを知ったら。はあ、頭が痛い。

「それじゃ急ぎましょう。遠坂が顔を出してきたら話がややこしくなる」

「そうね、それじゃあ案内の方よろしく」




城跡に着いたのはそれから約三時間後、空は既に茜色に染まり、帰りは夜になってしまうだろう。
あの戦いの後、火事で燃えてしまった城は上半分が完全に崩れ落ち、廃墟と言うほか言いようが無い。俺たちは、そんな城跡を眺めながらに静かにたたずんでいた。

「あいつが死んだ場所は塔の屋根裏です。火もそこから出たんで、もう崩れちゃってるんです」

俺は腕組みして城跡を見上げるバゼットさんに説明した。

「あいつらしい。自分の墓もひっくるめて荼毘にしたわけね」

それだけ言うとバゼットさんはじっと城跡を見据えた。どう言ったら良いのだろう。哀しむでも無く、ただ淡々と見据えていた。

「恨みごとの一つも言ってやろうと思って来たんだけど、これじゃあ無理ね」

「恨んでるんですか?」

マスターを守りきれなず、むざむざ敵に自分まで奪われたサーヴァント。それだけ聞けば恨まれても仕方ないように聞こえる。だけど、この人があいつを恨んでいるようには見えない。

「そうね、君、背中から不意打ちで切りつけられたことある?」

バゼットさんの返事は予想外だった。普通の人はそんな経験しませんって。でも、俺は……

「あります」

アーチャーに。黙っていても構わないのだろうが、何故か正直に話す気になった。

「その時、君のサーヴァントを恨んだ? 何故助けないって」

ああ、そういうことか。

「いや、あれはセイバーのせいじゃない。油断したのは俺だったんだから」

そう、あれは俺の責任。自分の失敗なのだ、どうして他人を責められる。

「でしょ? 私もそう。油断して奪われたのは自分の責任。それはそうと、余り良い事じゃない」

「はい?」

なんだろう?

「君、今、自分がセイバーのマスターとして聖杯戦争に参加したってばらしちゃったのよ?」

凄く楽しそうに意地の悪い笑みを浮かべて、バゼットさんが俺の顔を覗き込む。うわああ! かまだったんですか? 俺、かまかけられてすんなり引っかかっちゃたんですか!?

「ま、貸しにしといてあげる。今回は個人的な行動だから。ああ楽しみ。どうやって返してもらおう」

畜生! 魔女め。ああ、そうか、魔女なんだ。いや、そうじゃなくて。はあ、女性の魔術師って言うのはこんな人ばかりなのか? 本当に振り回されっぱなしだ。

「だから恨みごとって言うのはただの愚痴。もうちょっとうまく立ち回りなさいってね」

楽しそうに微笑みながら、バゼットさんは再び城跡を見詰める。

「でも、あいつ、バゼットさんの敵は取りましたよ」

「その当り、報告書は凄くあいまいだった。もし知っているのなら話してくれないかな?」

「はい、伝聞ですけど」

俺は遠坂から聞いたランサーの最後を、バゼットさんに語った。
囚われた遠坂を殺すように言峰に命じられ毅然として断ったこと、それゆえに令呪を使って言峰から自害を命じられたことを。自分の槍で自分の心臓を貫かれながらも、その言峰を倒したことを。そして最後に遠坂を救い出し、己の火で城もろとも焼き払ったことを。

「俺にとっては恩人ですよ。あいつは」

「敵でも?」

「ええ、二度も殺されかけたけど、あいつも言っていた。気が合う相手となら明日殺しあう運命でも、今日は一緒に飲み明かすのが情だって」

俺はそこまで割り切ることは出来ないけれど、気持ちはわかる。それにあいつとだったらそれも悪くない。そう思えるようにもなった。

「そう……」

バゼットさんは再び城を見詰めて黙り込んだ。なにか複雑な表情だ。綺麗でとても優しい顔だ。

「衛宮くん、少し一人にしてくれない?」

「いいですよ、俺もちょっと用事ありますから。中庭にいっています。帰る時に声をかけてください」

「有難う、衛宮くん」





俺は、途中で買っておいた花を墓碑にささげた。
城が焼け落ちたとき、一度は埋まってしまったが、ここだけはあの後もう一度整えなおしたのだ。
黒い巨人と白い少女の墓。漆黒の大きな黒い石碑と、
 

せっかくだから第2章・・・

 投稿者:田中 門左衛門  投稿日:2005年 4月27日(水)19時23分51秒
  勇者の冒険(小説Ver)
~第2章~
「ふぁ~ぁ・・・」
勇は眠そうに言った。
「よく寝た・・・」
勇が朝食の準備にとりかかろうとした、そのとき・・・
「やぁやぁ勇さん・・・久しぶりですね・・・」
「・・・・・・!!」
「フフフ・・・驚きましたか?私自ら出向いてきたのですからね・・・」
「ブラックハルト・・・何しに来た・・・?」
勇は構えながらそう言った。
「まぁまぁ、そんなに警戒しないでくださいよ。今日は戦いに来たわけじゃないんですから・・・」
「・・・?じゃぁ何をしに来たんだ?」
「フフフ・・・アナタ、隼人という人をかくまっているんじゃないんですか?」
(やはりブラックハルトが関係しているのか・・・)
「フン、だとしたらどうする?」
「隠さずに出してほしいのですよ・・・」
「やはりそう来るか・・・だが、残念ながら隼人はもうここを去ってしまった。昨日の夜にな」
「・・・・・・。」
「・・・それは残念ですねぇ・・・で、どちらに向かったんですか?」
「まぁ教えてもいいが1つ聞かせろ」
「・・・?何ですか?」
「ナゼ隼人を追っている?貴様と隼人に何の関係がある?」
「・・・・・・。」
「いいでしょう、特別に教えてあげます。」
「彼は、私の秘密の屋敷を見つけてしまいましてね・・・。その屋敷からカギを1つ奪っていってしまったのですよ」
「・・・ほぅ、そこがお前の新しい本拠地か・・・」
「・・・そうなりますね」
「本拠地をいちいち変えるのはどうかと思うが・・・」
「そんなことあなたに関係ありません・・・」
「・・・で、隼人さんはどちらに行ったんですか?」
「・・・・・・、あっちだ・・・」
勇は川の下流を指差した。
「そうですか・・・情報提供ありがとうございました」
そう言うと、森から大量のガイコツ兵士が現れた。
「もうあなたには用はありません。では・・・」
「くっ、そんなこったろうとは思っていたけどよ・・・!!」
言い終わる前にガイコツ兵士達が一斉に飛び掛ってきた。
「さて私は屋敷に戻ることにしましょう」
そう言うと、ブラックハルトは消えてしまった。

~とある屋敷~
「ブラックハルト様、お帰りなさいませ・・・」
「ただいま・・・」
「隼人は見つかったのですか・・・?」
「いえ・・・ですが、じきにここに来るでしょう・・・」
(勇が言っていた昨日の夜に去ったというのは本当のようだが・・・川の下流に行ったというのは嘘だな・・・探すよりも待つほうが早いだろう・・・)
「カギまで盗んでいって、戻ってこないわけないですよね・・・」
「えぇ、なのでモンスターどもをかき集めておいてください」
「心配にはおよびません・・・。今、スライムを強化して凶暴なスライムを作成しているところですので・・・」
「そうですか、私はこれからしばらくの間出かけてきますので、あなたが式をとっていてください」
「わかりました。ではお気をつけていってらっしゃいませ・・・」
「では、行ってきます」
そう言うとブラックハルトは消えてしまった。
「フフフ・・・」
「しばらくは私の天下ですね・・・」
そう言うと、どこからか赤い玉を持ってきた。
「この玉を捜すのもしばらくは楽になりそうだ・・・」
「フフフ・・・私が天下を取る日が少し近くなった・・・」
「ブラックハルトなどに邪魔はさせぬ・・・」
「玉が3つそろえばブラックハルトなど・・・」
「もはや敵ではないのだ・・・」
「フフフフフフフフ・・・」
「世界は・・・この黒の魔術師様の手によって征服されるのだ~~~!!!」

http://takedajinzaburou.hp.infoseek.co.jp/FullPower/

 

んじゃぁ勇者の冒険でも小説にしてみますかw

 投稿者:田中 門左衛門  投稿日:2005年 4月23日(土)20時13分5秒
  勇者の冒険(小説Ver)
~第1章~(第2章書くかどうかわからんが)
ここは、とある森の中・・・
1人の青年が修行をしている最中だった・・・
「よし!今日はここまでにしておくか!」
もうすぐ日が暮れるので、青年は夕食のしたくを始めた・・・
「フゥ・・・いい汗かいたなぁ」
青年の名は勇・・・
とある悪党との激しい戦い(詳しくは、GAMEの第0章参照)で
自分の力不足を感じ、この森で修行を始めたわけである。
「ん?川上から何か流れてくるぞ?」
今勇は、魚をとったり水を飲んだりと
食料や飲み水に困らないように川の近くで生活している。
「・・・あ、あれは・・・人だ・・・!!助けないと・・・!!」
勇が勢いよく川に飛び込んだ。
・・・と、そのとき、川の中からスライムが5体ほど
飛び出してきた。
「なるほど・・・、ブラックハルトが関係しているのか・・・」
そう言うと、腰にあった剣を構えて
5体一気に切り裂いた。
そして、流れてきた青年を抱え、陸に上がった。
「おい、大丈夫か?しっかりしろ!」
「うっ・・・」
「大丈夫か?お前は川に流されてたんだぞ?わかるか?」
起きるなりその青年は、急に剣を構えて警戒した。
「貴様は誰だ・・・?」
「・・・おいおい、命の恩人に向かってそれはないだろう?」
勇は冗談半分に言った。
「フン、命の恩人だと?そんなウソにこのオレが騙されるとでも思っているのか?」
青年が勢いよく剣を振り下ろしてきた。
それを勇は自分の剣で受け止めた。
「オレの名前は勇、お前はなんて名前なんだ?」
「フン、貴様に名乗る名前などない!!」
「んじゃ名無しのゴンベェでいいや、いや、長いからゴン太くんにしよう、決まり!」
「勝手に人の名前を決めるなぁ!!」
そう言うと青年は勇を思いっきりつきとばした。
「いてて・・・んじゃなんて名前なんだよ?」
「くっ!しぶとい野郎だ・・・」
そう言うと青年は構えを解いた・
「オレの名は隼人だ」
「貴様、さっき命の恩人とか言ってたが、本当にオレを助けたのか?」
「急に物分りがよくなったな・・・」
勇も構えを解いた。
「ああ、川の上流のほうからお前が流れてきたから陸に引き上げてやったんだ」
「そうか、疑ってすまなかった・・・」
「その様子だと、誰かに襲われたようだな」
「ああ、だが・・・初めて会ったお前に迷惑をかけるわけにはいかないからオレは行くよ・・・」
隼人がその場から去ろうとしたとき・・・
「まってくれ、お前、ブラックハルトって知ってるか?」
「・・・?いや、初めて聞く名だ・・・」
「お前を襲った奴なんだが・・・ブラックハルトが関わってるかもしれないんだ」
「そいつが誰だか知らんが、オレを襲ったのはスライムってモンスターだ。」
「ああ、だからそのスライムがブラックハルトの手下なんだよ!」
「なるほどね・・・。お前がそいつにどういった恨みがあるのかは知らんが、これはオレの都合だ・・・」
「・・・だが、ブラックハルトにはオレも用が・・・」
「うるさい!群れのBOSSが誰かを教えてくれたことには感謝する!だが、オレの邪魔だけはしないでくれ!」
そう言うと、隼人は去っていってしまった。
「くっ・・・」
「アイツと一緒に行けばブラックハルトにたどりつけると思ったのだが・・・」
(足が速くて追いつけないなぁ・・・)
そんなことを考えながら、勇は寝る準備を始めた。

http://takedajinzaburou.hp.infoseek.co.jp/FullPower/

 

衣替え

 投稿者:殺霊丸  投稿日:2005年 4月15日(金)19時00分8秒
  ちょっとここをゲーム攻略ではなく小説投稿にします。
良い作品はHPで紹介します。
決まり事は読みきりにしてください。
 

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